修士二年目の3月末のことです。
修論テーマのことで、春陽の射す千住先生の研究室に行きました(25歳)。
しばらく考え込んでいた先生は、黒板に一つのリンゴの絵を描き、私に問いました。
「生田君、このリンゴを取る?
取らなければ、このリンゴは消え、それでお終い。
が、しばらくすると別のリンゴが現れるかもしれない。
それは、消えたリンゴより大きいかもしれないし、小さいかもしれない。
このことを考慮し、先のリンゴを取るか否かを決めるにはどうしたらいい?
経営における意思決定のほとんどは、こういう形です」
ご存知 のように、これは 「最適停止問題(Optimal Stopping Problem)」と呼ばれるものです。
そして、この問題の最も典型的な応用例である、
ある期日(deadline)までにある「もの(資産)」を売却あるいは購入する問題に
焦点を合わせて研究を進めてきました。
これは「資産取引問題(Asset Trading Problem)」と呼ばれるもので、
これまでに多くの研究者によって扱われてきたものです。
ところで、資産取引問題は次の4つに分類されます。
大きく分けて「資産売却問題」と「資産購入問題」、
そして、その各々において「売り手と買い手のどちらが価格を提示するか」
という点から二つの分類されます。
私の研究の主眼は、この4っの問題(Quadruple-Asset-Trading-Problems)を
ひとつの枠組みの中に取り込むところにあります。
これを「統一理論(Integration Theory)」と呼びます。
して、50年が経ち(76歳)、先生からのこの宿題に対する答えをようやく出すことができました。
半世紀にわたる私の学者人生のすべてを決した課題でした。
結果は、数ヶ月かけて論文の形にまとめ、
海外のしかるべき学術雑誌に投稿予定です。
採択されたら報告いたします。
生田誠三(2017/2/21)